紅いろの家
緩やかな傾斜地に建てられた20坪の小住宅
60代の御夫妻のための終の棲家です。
「人生の最後に、自分の好きな家で暮らしたい。」
そんな言葉がとても印象的でした。小さな居住スペース有効に使うためにあえて2階リビングを選択しました。1階寝室の天井高さは低く抑え、階段をできるだけ緩やかな勾配で設計しています。オーナー御夫妻は2階から見える山々の景色を大切にし、いつまでも2階で暮らすことを望まれました。単にバリアフリーありきではなく、60代を超えてから家を建てるということの意味を教えていただいたように思います。お近くに息子さんがお住まいになられていることも計画上大切な要素となりました。紅いろの家とは、そんな前向きな御夫妻の気持ちを表した名前です。
20坪の敷地で、容積率は100%、北側斜線も厳しい環境の中で自分たちの希望を叶えられるような家が建つのか心配されていました。60歳を超えてからの家づくり。楽しみ反面、心配なことも少なくなく、話がしやすい専門家に出会いたいと思っておられたとのこと。
お近くに住まわれている息子さんと私はほぼ同年代で、面会したときに話がしやすい印象を持っていただいたそうです。計画の事前相談は無料で対応してくれたので、契約前の期間でいろいろな心配ごとについて相談できたこと、仕事の進め方を確かめることができてよかったとのことです。
20坪の敷地を有効的に利用するための検討パターンをいろいろと考えてご提案しました。
また、ご年齢からくる体力の衰えを考慮するためにバリアフリーの提案を行いましたが、それよりも毎日の暮らしが楽しいと思える家、2階から見える景色を生かした家をつくってほしい、という思いに応えることは設計者としてかなり難しい判断でした。結果として、息子さんがお近くに住まわれているということが大きなポイントとなり、2階にリビングを計画することになりました。